津波警報発令中の港町の午後

海嘯警報中的港町午後

7月下旬から8月上旬にかけて、札幌から函館へのドライブ旅行を計画しました。これまで北海道に行ったことがなかったので、今後の作品のための資料収集も兼ねて、北海道の素晴らしさを実際に見て体験したいと考えていました。

静かな港町への訪問となるはずだったが、思いがけず全国津波警報が発令された。今回はロシア極東で発生したマグニチュード8.8の巨大地震が原因だった。これは史上3大地震の一つに数えられる。その後、日本では史上3度目の全国津波警報が発令された。

警報が鳴った瞬間、函館湾の景色は一変した。道路にたむろしていた乗客や港に駐車していた車が、まるで海岸線全体が「避難」ボタンを押したかのように、海岸線へと逃げ去っていった。初めてホテルの部屋から聞こえてきたアナウンスは、指定された階への避難をはっきりと指示していた。ホテルのアナウンスとは一線を画し、緊迫感を漂わせていた。幸いにも函館には前日に早く到着していた。そうでなければ、道中で立ち往生したり、見知らぬ場所に避難したりする必要があったかもしれない。

早朝に警報が発令され、解除の発表は午後までなかった。空は晴れ、海は穏やかに見えたものの、依然として不透明な空気が漂っていた。道に観光客の姿が見え始めた頃、ようやく当初の予定通り、本日の目的地である「NIPPONIA HOTEL 函館みなとまち」へと向かうことにした。

この宿は、かつて函館で栄えた昆布工場の跡地にあります。この地域でしか採れないガゴメ昆布を生産していました。粘り気があり栄養価の高いガゴメ昆布は、かつて函館の主要輸出品として、世界との貿易を担っていました。現在、NIPPONIAは工場跡を旅館として改装し、赤レンガの外観と重厚な木の梁はそのままに、港町の文化を反映したディテールを取り入れています。昆布をモチーフにしたアートインスタレーションや、インクジェットのようなイカをイメージしたロビーのシャンデリアは、光と影の中に海の息吹を捉えています。

江戸時代後期に重要な歴史の舞台となった函館は、日本で最も早く開港した港の一つです。開港とともに世界中の文化が集い、融合し、独特の街並みを形成しました。かつて香港やナポリと並んで「世界三大夜景」の一つに数えられた函館は、今もなお数多くの洋風建築や異人館(伝統的な中国建築)が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。五稜郭は、名探偵コナンの映画「百万ドルの星」の重要な舞台となり、現実と虚構が融合した独特の魅力を放っています。

その日の午後、私たちは港のそばに立ち、警報が鳴った後、いつになく人影のない湾を眺めていた。海はかすかな光を反射し、静かに息をしている。函館は単なる観光地や歴史的建造物ではなく、遠くから無数の船を迎え入れ、幾度となく海の脅威と試練に直面する、現実に生きている都市なのだと実感した。

旅の予期せぬ出来事は、時に最も深く刻まれた記憶となる。あの日の津波警報は、まるで透明なフィルターを通して、港町をただの風景以上のものとして捉えさせてくれた。潮の力強さと、古き良き建物の優しさが、訪れる人々を静かに迎え入れる。函館を出発した夜、まだ潮風が残り、港の灯りが揺らめく。旅の意義は不確実性を避けることではなく、それを受け入れ、前に進み続けることにあると、私に教えてくれた。

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