名前は時に人を惹きつける力を持つことがあります。私の名前には「乾」という文字が含まれているので、それに関連する文字には特に気を配っています。日本の歴史には、戦国武将として名高い上杉謙信がいます。彼は「越後の龍」と呼ばれ、その勇猛さと戦略性で名を馳せました。彼は毘沙門天に生涯を捧げ、自らを毘沙門天の化身と信じていました。
毘沙門天
仏教において、毘沙門天は北方の守護神であり、悪に対する勝利と正義の守護を象徴しています。日本では、毘沙門天は「勝利の神」とされ、多くの武将や将軍の精神的な支えとなっています。上杉謙信は戦争を神の意志の成就と捉え、毘沙門天と「謙譲」という字の間に意外な繋がりを生み出しました。
京都山科の毘沙門塔
縁あって、昨年京都を訪れた際は、山科にある毘沙門堂を訪ねました。毘沙門天を祀るこの堂は、紅葉の名所としても有名です。秋には、石段が真っ赤な紅葉で覆われ、山門まで炎のように燃えるように広がります。しかし、私が訪れた日は残念ながら紅葉のピークを過ぎており、まだ見頃ではありませんでした。
しかし、観光客の喧騒がないので、寺院の静けさはさらに明らかになります。
石段に散りばめられた紅葉と苔の緑が美しく調和し、風に舞い散る落ち葉は、静寂のひとときを演出します。山門前には「毘沙門天」と刻まれた大きな赤い提灯が掲げられ、ここが単なる景観を楽しむ場所ではなく、古くからの信仰の地であることを改めて感じさせます。
紅葉と電柱と日々の生活
毘沙門堂の紅葉は、壮観な石段だけにとどまりません。道端の角、壁際に咲く椿、電柱が織りなす空さえも、旅の一部となっています。こうした小さなディテールが、京都郊外の散策に日常の息吹を添えています。
路面電車の窓から外を眺めると、車内は静まり返り、外には山々が静寂に包まれていた。その瞬間、時間が長く感じられ、旅の重みが優しく感じられた。
旅の意味
毘沙門堂への旅は、壮大な紅葉を見逃すためではなく、「見逃した」心の奥底にあるより深い安らぎを見つけるためでした。旅の価値は、単に有名な観光スポットにたどり着くことではなく、その名前と物語に触発され、心に深く響く時間へと足を踏み入れることにあります。
毘沙門堂は、京都での私の最も特別な思い出の一つとなりました。
山を覆う紅葉の壮大さではなく、落ち葉が残す静けさです。
